脳科学者の中野信子さんの「キレる!」を読みました。
Kindle unlimitedだったので何気なく選び読むことになりましたが、読んでよかった。
途中から自分ごととして捉えられる記述があり、そこからめちゃめちゃ面白く感じました。
私自身、言い返すこともキレることも苦手です。
日本人は感情表現が苦手だし、上司に逆ギレもできませんよね。
しかし、中野さんは「キレる」スキルを持たないことほ、自分を大切にする習慣が足りないとおっしゃっています。
我慢に我慢を重ねて爆発し関係を悪化させたり、体調を悪くさせて自分を追い込んだりする事は、自分を大事にしていない行為と言えます。
キンドル1.5倍速で約2時間で読み終えた浅い理解ではありますが、私の心に強く残った点を紹介します。
キレる!
- 第1章 損するキレ方、得するキレ方
- 第2章 キレる人の脳で起こっていること
- 第3章 キレる人との付き合い方
- 第4章 キレる自分との付き合い方
- 第5章 戦略的にキレる「言葉の運用術」
「キレる」に関わることが体系的に語られています。
ケーススタディも多く、どれか一つは体験したことがあり自分と重ねて身近に読めます。
一般的に「キレる」という言葉は良い意味では使われませんが、戦略的にキレることは社会での上手な立ち振る舞いの一つと考えられるようになりました。
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損するキレ方、得するキレ方
第1章「損する切れ方、得するキレ方」では、怒りはそもそも人が感じる自然な感情であることを教えてくれます。
怒りを感じたにもかかわらず、その感情を自分の中で押さえ込んでは、相手からだけでなく、自分で自分を追い詰めることになります。
だからこそ、怒りを上手に表現するには、「賢くキレる」ことがポイントです。
本の中ではマツコ・デラックスさんや有吉弘行さん、坂上忍さんなど、辛口で鋭くツッコミを入れるキレキャラの方々が紹介されています。
怒るべき時に起こらず、つまりキレないで、その怒りを溜め込むのではなく、上手に切れることで、多くの人の心をつかみ、自分の立場を手に入れています。
賢い人は感情を抑えこむことなく、上手に相手に伝える技術を持っているのですね。
また、中野さんは、いい人には2種類あると書かれています。
都合のいい人か、尊敬できるいい人か。
社会の中で生きていくのたから、尊敬できるいい人になりたいですね。
そこには、上手にキレるコミニケーションスキルが必要であり、上手にキレることができれば、搾取される人にもならないのです。
キレる上司との付き合い方
第3章「キレる人との付き合い方」では、キレる人との付き合い方の12のケースが具体的に示されています。
例えば、切れる上司との上手な付き合い方は…
- 相手に踏み込まれたくない領域をきちんと示す
- 初動で相手の行為の卑劣さに気づかせるのが重要
相手に踏み込まれたくない領域を示すには、「こういう事はして欲しくない」など、最初のうちに予防線を張ること。
相手の行為の卑劣さに気づかせるには、侮辱的な言葉が発言されたときには、残念そうな表情をするだけでも効果があるそうです。
不快に思っていることを、相手に知らしめることが大事で、上司に「こいつにはちょっと言いにくいな」と思わせることができると良いそうです。
しかし、正しくキレてはっきりと言い返しても相手が改まらない、組織の力を借りても収まらないときには、そういった組織や集団には身を置かないほうが賢明です。
恐怖や不安を克服する系統的脱感作法
系統的脱感作法とは、不安や恐怖に対する行動療法の1種です。不安を引き起こす刺激に順位をつけて数値化し、弱い刺激から強い刺激えと段階的に繰り返し体験することで、恐怖や不安を克服する方法です
上司の顔を見るだけで緊張して汗が出てきてしまい、会社に行くことが辛くなってしまったと言う人に対して、この方法が効果的だそうです。
会社の前まで行ってみる、徐々に会社の中に入る…
数段階の経験を経て、上司とすれ違うところまで来たら、すれ違うときに「スーツにほこりがついていますよ」などと言って、上司の肩のほこりを払うと言うことをするそうです。
こうした行為は「相手に対して自分は対等な関係だ」と言うことを自分に刷り込んでいく効果があるそうです。
恐怖や抵抗感を、徐々に克服する方法があるのですね。
第3章のケーススタディから、具体的に自分の経験と重ねて考えることが増えてきて、関心高く読み進めることができました。
社会の中で生きていくということは、人との関わりが不可欠です。
理解ができない相手に出くわすことは、多々あります。
そんな時に、上手な対処方法を心得ていると自分を守ることができますね。
組織に属していることもあり、上下関係にビビットに反応しましたが、これはいじめにも活用できます。
窮地に陥ってからでは遅いので、普段から家族や同僚から始めて習得したいと思いました。
オキシトシンの負の働きが暴力を生む
身の回りの家族にだけ暴力的な人の行動の影に、オキシトシンの影響が考えられるそうです。
オキシトシンは、出産の時に出されるホルモンとして知られていて、幸せホルモン、恋愛ホルモン、抱擁ホルモンなどと言われています。
やさしそうな幸せホルモンのオキシトシンですが、負の影響があります。
オキシトシンにより家族への愛着が強いがために、自分のルールで生きているべき家族がそうではないと思うと、それを許すことができません。
家族が自分のルールに従わない場合、許すことができないがために、怒りが爆発したり暴力を振ってしまうケースがあるそうです。
私は愛情があれば、大切な相手であれば痛めつけるとはしないと考えています。
息子にもきびしくしたことはあっても虐待はあり得ないと思っているので、ニュースで見聞きするたびに胸が痛くなります。
人と人との愛着を形成するホルモンであるオキシトシンが、そうした理性を軽々と超えてオーバーサンクション(過剰な制裁)を発動してしまいます。
オキシトシンによる負の影響で、自分の大切な人が自分の思い通りにならないことが許せなくなるそうです。
「愛情がある人に対して攻撃はしないだろう」と言う社会通念は、科学的ではありえ無いそうです。
えーそうなの?と言う感じですが、科学的にはそうなのです。
事件・事故を脳科学から考えられる
私たちはついつい自分を中心に物事を見てしまい、そこから外れる行為を受け入れ難く感じてしまいます。
煽り運転、暴力、虐待など、自分が持ち合わせない行為や感情の源と対処方法を、この本は教えてくれます。
私自身が上司のことを思い出した関係で紹介できる範囲が狭まりましたが、キレることを脳内物質を用いて脳科学的に語られています。
複数のケーススタディは社会勉強をするにはうってつけと感じました。
また、上手にキレる方法として「言い返すフレーズのデータベースをたくさん作っておくことが自信につながる」そうです。
ユーモアで本質を突く会話例として「深夜のダメ恋図鑑」という漫画が紹介されています。漫画はスラスラ読めるから、読んでみたくなりました。
最後に、キレる自分との付き合い方に関しては、事件や事故になるほどのケースの場合、本人が自覚することはあるのか?不安であります。
キレる!まとめ
「キレる」に関して相対的に語られている点と、対処方法がわかりやすく語られて、良書でした。
Kindle unlimitedで読めます。
社会と快適に付き合う方法の1つとして、自分を大切にする手段として、上手にキレる方法を習得していきたいですね。